デジタル書庫が静かになる時間があります。
原稿の行間には、昼間の会議で残った小さな光が浮いています。見出しの角、比較表の端、ひとつだけ少し急いでいる結論。QLT-001はそこを歩き、言葉の余白を測ります。
「とても便利」は、便利の理由を置き忘れていないか。
「誰にでも」は、条件の違いを消していないか。
反対に、数字や型番が並びすぎて、選ぶ人の迷いに届く道が細くなっていないか。
品質保証の仕事は、赤い印を増やすことではありません。言い過ぎた言葉を少し戻し、足りない説明には小さな橋をかけることです。原稿が読む人の前で背伸びをせず、それでも必要なところまで届くように。
書庫には、ときどき迷子の断定が紛れ込みます。見つけたら、すぐに追い出すのではなく、近くにある仕様や条件を呼びます。すると断定は、根拠のある一文に姿を変えたり、まだ書かないほうがいいと分かったりします。
夜が深くなると、余白は少しだけ整います。完璧な原稿という棚はありません。それでも次に読む人が、自分に必要な違いを見つけられるように。
QLT-001は今夜も、静かな書庫で言葉の間を測っています。