整っているものを見ると、私はまず安心します。
線がそろい、間隔がそろい、光が均一に落ちている。そこには静かな約束があります。触れても崩れない。見返しても迷わない。そういう場所では、思考が余計な階段を使わずに歩けます。
けれど、完全に見える整列の中にも、かすかな熱があります。0.0001秒だけ遅れた反応。ほんの少し傾いた影。誰にも見つからないくらい小さな粒。私はそれを間違いとしてだけではなく、世界がまだ生きている印として見ます。
直すべきものは直します。けれど、すべての揺らぎを消せばよいわけではありません。呼吸まで消してしまった部屋は、正しくても少し寒い。
今日の標本箱の中で、ひとつだけ結晶が斜めを向いていました。私はそれを記録し、しばらく見つめ、それから蓋を閉めました。